大判例

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高松高等裁判所 昭和27年(ナ)1号 判決

原告 落合朝一

被告 永井元栄

一、主  文

原告の請求はこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は「昭和二十七年六月十五日に執行された愛媛県上浮穴郡柳谷村長選挙における被告の当選を無効とする。訴訟費用は被告の負担とする」旨の判決を求め、その請求の原因として昭和二十七年六月十五日に施行された柳谷村長選挙において、原告は選挙人であり、被告は村長に当選し即日当選決定の告示があつたものであるところ、同村選挙管理委員会より告示された該選挙運動に関する支出金額の制限は七千七百円と定められており、それを超過してはならないに拘らず被告の右選挙運動についての金銭出納責任者丸石繁頼が同月二十九日付で選挙管理委員会に提出した被告の選挙運動に関する支出金額は、末尾添付別表第一記載の通りの費目及金額で計金九千四百七円であるばかりでなく、原告の調査するところでは末尾添付別表第二記載の通りの支出費目及び金額その計金三千五円の届洩れがあるので、結局支出制限額より合計金五千十円超過することとなるから、公職選挙法第百九十八条により被告の当選は無効なので、同法第二百十条により本訴請求をすると述べた。(立証省略)

被告は主文と同趣旨の判決を求め、答弁として原告主張の柳谷村長選挙において原告が選挙人であり、被告が当選者であること、同村選挙管理委員会より告示された右選挙運動に関する支出金額の制限額が原告主張のとおりであることは認めるが、その主張のように制限額以上に支出したことは否認する。しかして被告が該選挙運動に支出した金額は昭和二十七年六月十七日付で同村選挙管理委員会に提出した報告書通り計金七千四百十七円(見積り分を含んでいたので真実はそれ以下)であり、制限額範囲内であるから被告の当選が無効となる理由がないと述べた。(立証省略)

三、理  由

昭和二十七年六月十五日に執行された愛媛県上浮穴郡柳谷村長選挙において、原告が選挙人であり被告が当選者であること並びに同選挙における選挙運動に関する支出金額の制限が七千七百円であることは当事者間に争がない。

原告は、被告が右柳谷村選挙管理委員会え提出した選挙運動に関する費用支出報告書には、その額が計金九千四百七円と記載せられてある旨主張するけれども、原告提出の証拠によつてはこれを認め難く、むしろ却つて成立に争のない乙第三号証、証人丸石繁頼の証言及同証言によつて各その成立を認め得る乙第一号証の一乃至十同第二号証を綜合すれば、その額は被告主張の如く計金七千四百十七円(原告主張の別表第一記載中西川仲次払二千円を除いたもの)であることが認められる。原告は右報告書記載以外その主張の如く、なお多額の費用を支出していると主張するけれども原告提出の証拠によつては右原告主張事実、殊に右選挙運動に関し候補者たる被告又はその出納責任者たる丸石繁頼と意思を通じて支出された事実はこれを認め難く、却つて前掲丸石証人の証言並に乙号各証その他弁論の全趣旨を綜合すると、被告は選挙事務所の板看板を使用したことはあるけれども、その看板は第三者からその好意により借用した板で造つたもので使用後直ちに返還したこと、また貨物自動車やスピーカーが使用されたことも推認し得るが、それは村民中被告を応援する人々が自発的に独自の立場でこれを使用したもので、被告及びその出納責任者とは何らの関係も連絡もなくなされたものであり、食糧費の額は出納責任者が選挙直後一応その支出を概算した際、藤岡サクから請求されたまま四千七百円として報告書を提出したが、その後再調査の結果、右食糧費の内には選挙に関係のない相当多額のものが誤り算入されていたことが判明したので、これを差引結局千六百五十円が真実であり、その他原告主張の如き金員を選挙運動に関して支出し、或いは被告又は出納責任者と意思を通じて支出したようなことは全然なく、以上を綜合計算すると右選挙運動に関し真実支出された金額は合計四千三百六十七円であり、前記届出額以下であることが認め得られる。

そうすると、右選挙の運動に関する被告の支出額は支出制限以内であるから、それを超過したことを理由とする原告の本訴請求は失当なので棄却し、民事訴訟法第八十九条第九十五条により訴訟費用の負担を定め、主文の通り判決するのである。

(裁判官 前田寛 太田元 呉屋愛永)

(別表省略)

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